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古代裂とは



「古代裂(こだいぎれ)」とは、歴史の古い織物の断片のことです。一般的には100年ほどたっている裂地のことで、現在では明治中頃までのものを含めて「古代裂」と呼んでいるようです。
特に、江戸時代までの古い裂地は、飛鳥・天平時代の「上代裂(じょうだいぎれ)」、鎌倉・室町時代の「名物裂(めいぶつぎれ)」、江戸時代ごろまでの「時代裂(じだいぎれ)」に分けられます。
「上代裂」は、ほとんどが法隆寺(法隆寺裂)と正倉院(正倉院裂)に遺されています。
「名物裂」は、主に宋・元・明といった中国から渡来した金襴(きんらん)、緞子(どんす)、間道(かんとう)など、当時の茶人たちに珍重され、名物の茶入れや茶碗などの仕覆(仕服)に用いられたことで、この名が付けられました。
「時代裂」は、一般的に歴史の古い裂地の総称でもあります。
「上代裂」「名物裂」は大変珍しいこともあり、あまり耳にすることはありません。一方、「時代裂」「古代裂」という言葉は広く一般にも用いられていますが、明確な定義はなく、下限の時代のとらえ方が人によって多少違うようです。
また、最近では、昭和初めごろまでの裂地も含めて「古布(こふ)」と呼ばれることもあります。

古くから京都には裂地商といわれる店があり、掛軸の表装用や、お茶・諸道具のお仕覆、帯、小物用などに、さまざまな裂地を売買していました。昔の人々は帯から刀袋や扇袋をつくったり、あるいは着物や打ち掛けを襖や屏風に縫い付けたりして、自分流に楽しんだのです。

精緻な技術や洗練された感覚、どこか親近感を覚える優しい美しさが、古くから風流人に珍重されてきた「古代裂」。風流人は、特に時代のたった裂に伝統の素晴らしさを、大陸から入ってきた「渡り裂」に日本にはない大胆な図柄や色彩を求め、見事に自分達のものにしてきました。「古代裂」には、今も昔も人の心をとらえて離さない不思議な魅力があります。

そんな魅力ある「古代裂」をお雛様に着せることで、江戸の「時代裂」をお雛様を通して楽しみ、また次の世代に受け継いでいくことができれば幸せです。 





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